借金が増えすぎてしまった場合の最終手段として、自己破産を検討する人は少なくありません。
最近では感染症の影響で破産手続きを考える方も増えているとのことで、自己破産のやり方や費用、そして自己破産後の生活などを気にされている方が多いようです。
Q:感染症の影響により経済的に苦しい状況になり,借金等の返済を続けていくことが難しくなってしまいました。今までの債務を整理して生活を立て直したいのですが,裁判所を利用する手続としてどのようなものがありますか。
A:借金等の返済が困難になった個人又は法人が債務を整理するために裁判所を利用する手続としては,(1)特定調停手続,(2)再生手続,(3)破産手続が用意されています。
引用元:法務省 新型コロナウイルス感染症の影響により借金等の返済が困難となった方へ
しかし自己破産手続きの流れや、期間や条件、どこまで調べられるのか、などなど、「自己破産するとどうなるか」が分からず、一歩を踏み出す勇気が出ないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではその第一歩を踏み出すために、自己破産手続きの流れ・期間・条件・どこまで調べられるのか、そして自己破産するとどうなるか、といった自己破産手続きの基本をメリット・デメリットを交えて「自己破産とはどういう手続きか」を詳しく解説していきます。
自己破産とは?期間や条件・どこまで調べられるか解説
まずは、自己破産とはどういうものなのか?期間や条件・どこまで調べられるのか、といった、自己破産の基本情報から解説していきます。
自己破産とは?借金が増えすぎて返済が不可能となってしまった際に、裁判所に申し立てをして借金を全額免除してもらう手続きのこと。
「自己破産」という言葉に「全てを失ってしまうこと」というイメージを持つ人は多いと思いますが、そうではありません。
自己破産とは、返しきれない借金を背負ってしまったり、多重債務に悩む人がゼロから生活を立て直すチャンスを得るための制度となっています。
また、自己破産手続き中は借金の取り立てがストップすると言う利点もありますよ。
自己破産の種類や条件など、以下でしっかり確認していきましょう!
自己破産の種類と期間
自己破産には3つの種類があり、それぞれ免責許可が出るまでの期限が存在します。
免責許可が出るまでの期限 | |
---|---|
同時廃止事件 | 2ヶ月~3ヶ月前後 |
管財事件 | 6ヶ月~1年前後 |
少額管財事件 | 3ヶ月~6ヶ月前後 |
ここで注意したいのは、自己破産手続きの種類は裁判所から通達されるため自身では選べないという点です。
3種類の自己破産のうち、自身がどの手続きに該当するのかの基準は裁判所ごとに違います
また、自己破産手続きは自身の持つ財産によって手続き方法が変わるので、その点も注意が必要となります。
これら注意点を踏まえた上で、自己破産手続きの種類について解説していきましょう。
同時廃止事件
同時廃止事件とは、債権者(お金を貸した側)に分配するほどの財産を持っていない場合に取られる手続き方法です。
免責許可が出るまでの期間は3つある自己破産手続きの中でも最短で、2ヶ月~3ヶ月前後となっています。
その理由は、財産があれば管財人がそれらを調査・換金して債権者に分配しますが、財産がないためその手順が省略されるからです。
管財人とは?破産手続きにおいて、破産者に代わって財産の換価や債権者への分配、免責判断の調査などを行う人のことです。裁判所から選出される専門家で、「破産管財人」とも呼ばれます。
管財人によってどこまで調べられるのかは後述するのでご確認ください。
管財人による調査等の必要がない分短期間で済むため、同時廃止事件は自己破産の開始と同じタイミングで破産手続きが終了することになり、裁判所へ支払う費用も最低限で済む手続きとなっています。
財産がない、と言っても自己破産後も手元に残しておくことが認められている財産(自由財産)は残るので、破産手続き後も一文無しにはなりませんよ。
手元に残せる現金は99万円以下となるので、自己破産でどこまで調べられるのか不安な方は、まずは「現金が99万円以上あるか・99万円以上の価値がありそうな財産を所有しているか」を基準に自身の財産を確認してみてください。
管財事件(通常管財・少額管財)
管財事件とは、一定の財産を所有している場合、もしくは免責不許可事由の疑いが濃い場合に実施される破産手続きです。
管財事件になると、同時廃止事件では省略された管財人による財産の調査・換金や債権者への分配、借金の理由の調査が行われます。
表にあげた「通常管財」と「少額管財」はともに管財事件ですが、内容やどこまで調べられるのかといった点に違いがあるので分けて解説していきましょう。
上でも挙げた通り、所有している財産と免責不許可事由の疑い(ギャンブルで作った借金など)の調査が行われます。
財産はどこまで調べられる?
- 現金
- 現金化が可能な財産(不動産や車、美術品等)
- 他人に課しているお金
そのため免責許可が出るまでの期間が長く、半年から1年間はかかるケースが大半です(財産がどこまで調べられるのか、その詳しい内容は後述します)。
調査後は所有する一定の財産は没収され、さらに管財人への報酬(予納金)を50万円ほど納める必要があります。
管財事件による破産手続き後も、手元に残しておくことが認められている財産(自由財産)は残るのでご安心ください
少額管財とは、財産が一定額以下でかつ、免責不許可事由がない場合に認められる手続きです。
管財事件の中でも、予納金の負担が少額で済む場合があり、免責許可が出るまでの期間も3ヶ月から半年程度、と通常管財より期間も短く済みます。
ただし、少額管財は法律で定められた制度ではないため、一部の裁判所だけしか用いられていません。
さらに「弁護士に依頼している」「債権者数が少ない」「借金状態が単純である」などの条件を満たす必要があるため、その点には注意が必要です。
少額管財事件は自己破産手続きの可否の条件に加えてさらに条件が必要になりますが、条件さえ合えばとても良い手続き方法だといえますね。
任意整理・個人再生との違い
自己破産・任意整理・個人再生は、いずれも借金の返済が難しくなった場合に利用できる債務整理の方法です。
同じ債務整理ではありますが、自己破産と任意整理・個人再生の大きな違いは
- 借金が無くなるか無くならないか
- 財産の処分が必要かどうか
という点だと言えるでしょう。
その他の特徴は、以下で表にまとめてみました。
自己破産 | 任意整理 | 個人再生 | |
---|---|---|---|
裁判所での手続き | 必要 | 不要 | 必要 |
官報への掲載 | あり | なし | あり |
借金の減額 | 全額免除 | 減額なし(利息カット・返済期日の延期などはあり) | 減額あり(1/5ほどに減額) |
財産の処分 | 必要(必要最低限の財産は残る) | 不要 | 基本的に不要 |
自己破産するとどうなるかと言うと、財産を失う代わりに借金も帳消しとなります。
しかし財産のほとんどを失うことになるので、自己破産後の生活には注意が必要です。
破産手続きを行う際には、その後の自身や家族の生活をよく考えると同時に、任意整理や個人再生で何とかなるのではないか、という角度からも検討してみることが大切ですよ
自己破産できる・できない条件とは
自己破産とは借金問題に苦しむ人のための救済措置です。
自己破産手続きが認められると借金が無くなりますが、それは債権者に大きな損害を与えるということでもあります。
そのため、自己破産には条件があり、誰でも希望すれば自己破産手続きが行えるわけではありません。
破産手続きの条件は以下の通りです。
自己破産の条件
- 借金の返済能力(支払いが不可能であること)
- 借金の原因(借金の理由が免責不許可事由でないこと)
- 非免責債権借(借金が非免責債権でないこと)
破産手続きが認められるかどうかは、上記の条件を基準に裁判所が判断することになります。
ここからは、これらの条件についての詳細を詳しく解説していきます。
条件①借金の返済能力
まず問われるのは借金の返済能力の有無です。
自己破産手続きをするには、管財人による調査、または自己アピールによって自身が法律上の「支払不能」と呼ばれる状態にあることを裁判所に認めてもらう必要があります。
支払不能とは?自身の支払能力不足が原因で借金を返済できない状態のこと。
支払不能の判断は管財人らによる客観性が重視されますが、支払不能に対する管財人のジャッジは厳しいと言われています。
例えば、財産や収入がなくても債務者が社会的信用を得ることができる立場であれば、それをもとに資金を生みだせると判断され、結果的に自己破産できないという結果になる可能性もあるのです。
反対に、財産があっても現金化が難しいものであれば支払不能が認められる場合もありますよ
また、債務者自身が意思表示することによって支払不能を認めてもらうことも可能で、これを「支払停止」といいます。
支払停止に当たる行為
- 明示的な支払停止
- 債権者に支払が不可能になったと書面で通知する
- 2回目の手形不渡り
- 黙示的な支払停止
- 廃業
- 事業所の閉鎖・閉店
支払停止の要項は主に自己破産手続きを行う会社に対する条件が多いので、個人で自己破産手続きをする場合にはあまり関係がないかもしれません。
しかしもし会社の破産手続きをお考えであれば、その場合も弁護士に相談することで会社の破産手続きとその後の資産の取り扱いなどに対応してもらえます。
会社が破産手続きするとどうなる?会社が破産手続きをするとどうなるかというと、その会社は倒産したということになります。
会社が破産手続きをしたその後は、役員であれば役員報酬を受け取ることができなくなりますが、手続き完了後は再就職するなど新しい人生を歩むことが可能です。
ちなみに、支払停止後に少しでも借金を返済してしまうと、支払い能力が回復したとみなされ支払不能が認められない可能性があるので注意が必要です。
借金の返済能力の条件については少しややこしいですが、法律上の「支払不能」が認められれば自己破産手続きが可能になり、認められなければ自己破産できないと考えておきましょう。
予納金の支払いができない
予納金の支払いができない場合は、自己破産できないので注意が必要です。
原則として、自己破産申し立て時に全額支払う必要がある。
予納金が納付されないと「破産手続開始決定」が出ないため自己破産できない状況が続き、最終的には裁判所から申し立て取下げの要請が来る場合もあります。
法律事務所によっては予納金の積立に対応してくれるところもあるので、無料相談等で確認・相談してみましょう
資格制限で収入が入らなくなる
特定の職業の方や特定の資格を所有している方の場合、自己破産手続きの期間中や自己破産後は一定期間職業や資格を喪失することになります。
その場合は事実上自己破産できない可能性が高いでしょう。
資格制限がかかる職業・資格
- 警備員
- 弁護士、税理士、司法書士(いわゆる士業)
- 宅地建物取引士
- 証券会社等の外務員や銀行員
- 保険外交員
士業を活かして仕事をする会社に所属している方は破産手続きするとどうなるか不安だと思いますが、上記に該当する職業の方でも、裁判所の免責許可が確定すれば資格を取り戻すことができます。
しかし資格を取り戻すまでの期間は決して短くはないため、仕事を続けることが困難になったり、仕事や資格を失う期間が長くなることによって、収入まで無くなる可能性が低くありません。
そのような事態への対応が難しい場合には実質的に自己破産をすることが難しいため、資格制限で収入が入らなくなる期間が発生する場合は自己破産できないと考えた方が良いでしょう。
破産手続きが原因で会社を辞めてしまったら、その後の生活が立ち行かず本末転倒になってしまいます。
条件が合わずに自己破産できない場合は、弁護士に相談して他の債務整理の可能性を探してみましょう。
借金が少ない
借金が少ない(主に100万円以下)場合も自己破産できない可能性が高いです。
客観的に見て100万円程度であれば返済が可能とみなされることが理由となっています。
やむを得ない理由や返済能力が著しく低いと判断された場合には、少額であっても破産手続きできる可能性もありますよ。
しかし「財産はどこまで調べられるのか」の部分で説明した通り、借入についても調査されるので借金の金額をごまかすことはできません。
条件②借金の原因
自己破産手続きを行うためには、破産法で定められている免責不許可事由に該当しないことも条件となります。
免責不許可事由とは免責(借金の返済免除)にならない原因のこと。
免責不許可事由に当たるケースには、以下のようなものがあります。
- 借金の理由がギャンブルや買い物、株式投資などの浪費が原因の場合
- 財産があることを隠して自己破産手続きを行なった場合
- 特定の債権者にのみ返済を行なった場合
- 返済能力がないことを自覚した上で借金をした場合
- 裁判所に対して虚偽の申告を行なったり、説明を拒否した場合
- 過去7年以内に自己破産の免責を受けている場合
これら免責不許可事由に該当した場合、返済義務は免除されず、借金は残ります。
「財産はどこまで調べられるのか」でもあったように、借金の理由も必ず調査されます。
自分の利益のみに繋がる行為は、全て免責不許可事由とみなされる可能性が高いと考えても良さそうですね。
しかし、裁判所の判断で出される裁量免責によって免責(借金の支払い義務を免れること)が認められるケースもあります。
事情によっては免責不許可事由があっても免責の許可を受けることができますが、その場合は同時廃止は認められず管財事件になるので注意が必要です。
条件③非免責債権
自己破産手続きが認められれば借金は全額支払い免除(免責)となりますが、自己破産後も免責にならない「非免責債権」という支払いもあります。
非免責債権とは?自己破産後も免責にならず、返済義務が残る料金のこと
そのため、借金の内容が非免責債権であれば、自己破産はできないということになるのです。
- 税金
- 社会保険料(医療保険・国民年金・厚生年金保険)
- 下水道料金
- 養育費
- 慰謝料
- 損害賠償金
借金の理由が上記のいずれかに該当する場合、自己破産手続きを行うのは難しいでしょう。
破産法上では、公益上の理由、または特定の債権者の保護を目的に、非免責債権に配当する料金については返済の免除を認めていません
ちなみに、電気やガスなどの民間の会社が経営しているライフラインや奨学金は非免責債権に当たらないので、それらが原因でお悩みの方はぜひ一度弁護士へご相談ください。
自己破産二回目の場合は期間と原因が条件
破産手続きは人生で一度しかできない、というイメージがありますが、実は二回目に限らず自己破産に回数制限はありません。
しかし、二回目以降の自己破産手続きを行う場合には満たすべく条件が増え、さらに審査が厳しくなるので注意が必要です。
二回目以降の破産手続きを行う際の条件
- 一回目の免責許可から二回目の自己破産まで7年以上経過していること
- 一回目の自己破産と二回目の自己破産の原因が異なること
これら条件について解説しましょう。
破産法では、すでに自己破産手続きで免責許可が出た過去がある場合、その時認められた自己破産から7年経っていなければ、再び自己破産することができないと定められています。
7年が過ぎれば形式的には再び自己破産手続きを行えるようになりますが、前回の自己破産のときよりもさらに厳しい基準で調査が行われ、自己破産を認めるか否かをより慎重に調べられることになるので注意してください。
「管財人からどこまで調べられるのか」という点では、調査内容は一回目と同じですが調査内容はより厳しいものになるでしょう。
もう一つの条件が、一回目の自己破産と原因が異なっているかどうか、という点です。
自己破産は借金の返済で苦しむ人のための救済措置なので、同じ原因で再び自己破産手続きをせざるを得ない状況に陥ったとなれば「反省していない」とみなされてしまう可能性があり、免責許可を受けることが非常に難しくなってしまいます。
さらに、二回目以降の破産手続きは管財事件になりやすく、1回目の自己破産より費用がかかる可能性が高いため、注意しましょう。
借金の原因が同じ場合、裁判所から自己破産を繰り返す可能性がある人物だと判断されるため、自己破産へのハードルが高くなるのです。
自己破産する大きなメリットは3つ
自己破産を実行するメリットは、以下の3つが当てはまります。
- 抱えている借金が全額免除される
- 給与の差し押さえがストップする
- 債権者による取り立てがストップする
どれも生活を立て直すのに重要となるメリットばかりです。
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
抱えている借金が全額免除される
申し立てをして裁判所から免責許可決定が下れば、現在抱えている借金の返済義務がなくなります。
借金がゼロになることは、自己破産をするうえでの最大のメリットだといえるでしょう。
もちろん手放す財産もありますが、生活を立て直すための制度なので、条件を満たせばある程度は手元に残せます。
多額の借金を抱えている人にとって、自己破産はゼロからスタートを切る手段の1つです。
給与の差し押さえがストップする
強制執行によって給与が差し押さえられていても、自己破産の手続きがスタートすると差し押さえは無効になります。
これは、破産者の財産に対して、債権者は強制執行することが不可能な取り決めになっているからです。
給与を再度受け取ることができるようになれば、生活の立て直しに役立てられるはずです。
債権者による取り立てがストップする
自己破産の依頼をすると、弁護士は債権者へ自己破産の申し出を伝える受任通知を送ります。
受任通知が送られた債権者は、債務者への取り立てや督促が禁止に。
以降は弁護士が代理人として債権者の対応をするので、取り立てや督促のプレッシャーから解放されます。
自己破産で管財人にどこまで調べられる?
自己破産では管財人による調査が必須となりますが、自己破産のためにどこまで調べられるのか不安だという方も多いでしょう。
自己破産で管財人が調べるのは大きく分けて以下の3点で、これらを徹底的に調査します。
- 所有している財産
- 借金の内容
- 免責に関する内容
以下でその内容を解説していきましょう。
自己破産の手続きの際、自己破産を希望する人(破産者)は財産目録を提出する必要があります。
管財人は、破産者が持っているすべての財産について、ありとあらゆる手段をもちいて徹底的に調査していくのです。
調査される財産
- 預貯金口座
- 不動産(自宅や所有する土地・建物)
- 自動車・バイクなど
- 20万円以上の貴金属、美術品など
- 保険(終身保険、個人年金保険、医療保険など)
- 有価証券(手形小切手、株式、社債、ゴルフ会員権など)
- 債権(他人に貸しているお金)
これらの財産について、以下のような方法で調査が行われます。
調査内容 | 調査方法 |
---|---|
①提出書類の調査 | 破産申立時に提出した財産目録・添付資料の精査。 預金通帳や取引明細書で現金の動きも管財人の厳しい調査が入る。 |
②管財人による破産者への聴取 | 管財人による破産者への聴取。 破産者の他に債権者や利害関係者にも聴取を行うことも。 |
③郵送物の調査 | 裁判所が認めた場合は破産者宛に届いた郵送物のすべてが破産管財人に転送され、調査が行われる。 郵便物や納付書を確認することで、財産の申告漏れや隠蔽が発覚するケースもあります。 |
④現地調査 | 管財人が自宅等に実際に訪れて調査を行う。 日時は前もって告知されるため、要立ち会いで行います。 |
⑤各種機関への情報照会 | 管財人が必要と判断した場合のみ、銀行や証券会社など各種機関に情報照会を行う。 |
自己破産することで財産をどこまで調べられるか不安な方も多いでしょうが、ありとあらゆる財産が管財人の厳しい目でチェックされ、価値の付きそうな物(マイホーム・車・貴金属など)については、より入念に価値を確認されることになるので覚悟しておいてください。
次に借金の内容についても管財人の厳しい調査が入ります。
回収した破産者の財産を債権者に配当するために、管財人は債権者の人数やそれぞれの債権額を正しく把握しなくてはなりません。
そのため管財人は、各債権者が提出する「破産債権届出書」と証拠書類をもとに、各債権者の債権額を以下のような方法で調査する必要があるのです。
基本的には破産者が申告し、管財人が債権者に裏付けを取る流れとなります。
調査内容 | 調査方法 |
---|---|
①破産者、債権者への聴取・書類提出 | 破産者が提出した債権者一覧表をもとに聞き取り調査を行い、債権者に借金の裏付けを取る |
②信用情報の開示 | 信用情報機関へ破産者本人の信用情報を開示請求し、調査を行う |
③通帳の入出金明細確認 | 通帳の入出金明細を確認して、債権の有無を確認する |
これらの調査によって、「債権者が何人いるか」、「個人・法人どちらか」、「各債権者の借金額はいくらなのか」などが管財人によって確認されます。
注意破産者、債権者への聴取を行う時点で、債権者あてに「破産手続き開始の通知」を送付するため、クレジットカード等が止まり、使えなくなるので気をつけましょう。
免責に関する調査は、管財人による厳しい聴取を中心に行われます。
聴取で確認される内容
- 借金を作ってしまった理由や経緯
- 同じことを繰り返さないためにはどうするべきか
- 免責許可が下りた後の生活はどうするのか
など
免責不許可事由がある場合には、生活状況を細かく確認されたり、追加資料を提出する必要も出てきます。
もちろん提出書類や郵送物の調査も入念に行われ、必要があれば金融機関などに直接照会する場合もあるので、聴取時に話した内容に嘘偽りがあればすぐにバレてしまうことでしょう。
生活をどこまで調べられるのか、という疑問には「すべて」とお答えしておきます。
破産者にはこれらの調査に協力する義務があります。協力しなければ免責不許可事由となってしまいますよ。
管財人の厳しいチェックによって、自身のプライベートな部分がどこまで調べられるのか怖く感じる方は多いと思います。
しかし管財人は裁判所の代わりとなって調査を行う立場にあるので、管財人による調査や聴取が厳しいのは当たり前と言えるでしょう。
しかし、誤解しないで欲しいのは管財人は自己破産させないために厳しい調査を行なっているわけではない、という点です。
中立的な立場である管財人は、破産者の免責不許可事由の有無にかかわらず、基本的には免責を認める方向で動いてくれます。
破産者が誠意を持って対応すれば、管財人は厳しい調査を行いながらも破産者の誠意を評価してくれることでしょう。
そのためにも、管財人との面談や聴取・必要書類の作成の際には
- 質問には正直に答える
- 申立書・陳述書に嘘を書かない
- 隠し事はしない
という点を意識して臨んでください。
管財人は厳しいですが、どこまで調べられるのかと怯えて嘘をついてしまうと自己破産できないだけでなく「詐欺破産罪」で起訴されるリスクまで発生します。十分注意してくださいね。
自身の借金を把握しましょう
自己破産手続きの流れ
ここからは、いよいよ自己破産手続きの流れとやり方について徹底解説していきます。
まずは自己破産手続きの流れをざっくり見ていきましょう。
自己破産手続きの流れ
- 弁護士・司法書士へ相談・依頼する
- 弁護士・司法書士が債権者へ自己破産の必要書類を送付する
- 破産手続き申立てを行う
- 破産手続き開始決定
- 破産の種類に合わせた手続きを行う
(同時廃止事件または管財事件) - 破産手続き終了
自己破産手続きの大きな流れは以上です。
簡単に言うと裁判所へ自己破産したい旨を伝え、裁判所が決定した自己破産の手続きを行い自己破産を認めてもらう、のが自己破産手続きの流れとやり方だということですね。
しかし実際に破産手続きを行うとそこまでシンプルではなく、裁判所へ破産申し立てを行った後、同時廃止事件か管財事件かによって手続きが変わるなど、自己破産のやり方には複雑な点が多いです。
以下で詳細をしっかり確認していきましょう。
同時廃止事件の自己破産手続きの流れ
同時廃止事件の自己破産手続きの流れは以下の通りです。
- 弁護士・司法書士へ無料相談
- 弁護士・司法書士に破産手続きの依頼
- 債務者へ書類発送
- 債権や収支の調査
- 裁判所への書類作成
- 裁判所へ書類提出・面接
- 破産手続きの開始決定
- 免責審尋
- 免責許可決定
管財人による調査を必要としない同時廃止事件は、破産手続きの開始決定以降の流れがシンプルですね。
ここからは、自己破産の流れの各項目の詳細を解説していきましょう。
1.弁護士・司法書士へ無料相談
まずは弁護士・司法書士へ自己破産したい旨を相談しましょう。
債務整理を得意としている弁護士・司法書士事務所なら、自己破産手続きの無料相談を行なっている事務所が多いので、ぜひ活用してください。
管財事件になるかどうかなど、突っ込んだ相談にも対応してくれる事務所もありますよ。
2.弁護士・司法書士に破産手続きの依頼
無料相談後、信頼に値する弁護士・司法書士事務へ破産手続きを依頼します。
依頼完了後に後悔することのないよう、費用や不明点(今後の流れやどこまで調べられるのかなど)をしっかり確認してから依頼してくださいね。
3.債務者へ書類発送
弁護士・司法書士は依頼を受けた時点で、債権者へ受任通知を送付します。
受任通知を受け取った債権者は破産者の自己破産手続き中は借金の取り立てを行う事ができなくなります。
自己破産手続き中は取り立てが完全にストップするので、債権者からの厳しい借金の取り立てにお悩みの方であれば、この時点でかなり心が楽になるのではないでしょうか。
4.債権や収支の調査
受任通知をする際、弁護士・司法書士は債権者側に取引履歴の開示も請求します。
そうしていわゆる「過払い金」が発生していないかなどを確認することで、より正確な負債を把握できるのです。
正確な負債を把握することで、分割返済が可能な金額であれば任意整理を検討できますし、返済が難しい金額であることがはっきりすれば、迷いなく破産手続きを進めることが可能になります。
5.裁判所への書類作成
続いて、自己破産を裁判所に申し立てる際に必要な書類を作成します。
自己破産手続きの流れ中でも地味でありつつ大変なのが、この裁判所への書類作成です。
書類の作成そのものは法律のプロである弁護士・司法書士が行いますが、依頼者は書類の作成に必要な資料を集める必要があります。
そのため、書類作成は弁護士に完全にお任せ、と言うわけには行きません。
しかし必要書類が早く集まれば、それだけ破産手続きも早くできることになるので、ぜひ頑張ってください。
申立に必要な書類は後ほど解説します
6.裁判所へ書類提出・面接
必要な書類が全て揃ったら、依頼者が住んでいる土地を管轄する裁判所へ書類を提出し申立てを行います。
申立書を提出した後は弁護士同行のもとで裁判官と面接(破産審尋)を行う流れになります。
裁判官との面接、というと緊張してしまうかもしれませんが、弁護士が同行するので安心してください。
面接の内容は、書類の確認と借金をした理由について聞かれる流れとなることが多いです。
7.破産手続きの開始決定
書類が受理され面談が終わると破産手続きの開始決定がおこなわれ、同時廃止か、管財事件(少額管財)かが決まります。
この時点で、一部職業や資格に制限がかかり始めます。
制限期間は免責確定までです。
8.免責審尋
ここで裁判官が借金を免除しても大丈夫か否かの最終的な判断である免責審尋を行います。
免責審尋は破産者が裁判所へ出頭する必要があり、裁判官から今後借金をしない生活を送るための心構え等を尋ねられたり、今後の生活に向けた注意を受けることになりますが、基本的には形式的な確認が行われるのみです。
住所や本籍等の形式事項に変更がないかを質問されるだけで終了したり、審問自体が行われず、書面の審理だけで終了する裁判所もありますよ。
裁判所へ出向く場合は遅刻・欠席は厳禁です。うっかり忘れてしまわないよう注意しておきましょう。
9.免責許可決定
免責が認められれば、免責審尋後から約2週間程度で裁判所から免責許可決定書が交付されます。
免責許可決定の交付をもって、自己破産手続きは完了です。
同時廃止事件の自己破産のやり方・流れは以上となります。
管財事件の自己破産手続きの流れ
続いて、管財事件の自己破産手続きのやり方と流れを解説していきます。
- 弁護士・司法書士へ無料相談
- 弁護士・司法書士に破産手続きの依頼
- 債務者へ書類発送
- 債権や収支の調査
- 裁判所への書類作成
- 裁判所へ書類提出・面接
- 破産手続きの開始決定
- 破産管財人の決定
- 破産管財人との面談
- 調査と処分
- 債権者集会
- 債権の確定
- 免責審尋
- 免責許可決定
以上が管財事件の自己破産手続きの流れです。
同時廃止事件と違い管財人による調査が行われるため、破産手続き開始決定以降の流れがやや複雑に見えますね。
ここからは、同時廃止事件と同じ行程である①〜⑦の説明は省いて、管財事件の自己破産手続きの流れとやり方を詳しく解説していきましょう。
8.破産管財人の決定
管財事件になると、裁判所から破産管財人が選出されます。
管財人が選出されたら、管財人の指定する口座に予納金を入金しましょう。
その際、申立てまでに毎月申立代理人(弁護士・司法書士)に送金していた場合は、申立代理人から直接破産管財人に予納金が振り込まれることになるので、自身で振り込む必要はありません。
なお、破産手続きが終了した時点で予納金が余った場合は、申立人に返還されますよ。
9.破産管財人との面談
破産手続きの進行を協議するために、破算管財人、申立人、申立人の代理弁護士の三者で面談を行います。
この面談は、破産手続きの開始決定し破産管財人が選任された後、すぐに行われるのが通常の流れです。
注意事案や裁判所によっては手続開始決定前に破産管財人が選任され、前もって面談が行われる場合もあります。
面談は最低1回行われ、必要があれば複数回面談を行う可能性もあります。
面談で話す内容の例
- 破産に至った経緯
- 債権者の詳細と債権額
- 申立人の財産の内容と現在の状況・評価
- 換価の対象となる財産の破産管財人への引継方法の検討
- 借入理由が浪費である場合、今後の方針を反省文に纏める宿題が課される場合も
面談場所は都度臨機応変に設定が可能ですが、管財人に選ばれた弁護士の事務所や、自己破産手続きを依頼した弁護士の事務所で行われるケースが一般的です。
面談時の服装や持ち物に関して、裁判所から指定は特にありません。
しかし相手に好印象を与えるためにもカジュアルすぎず清潔感のある服装で出向くのが望ましいでしょう。
10.調査と処分
面談後、破産管財人は面談で確認した内容をもとに、申立人の財産を換価(現金化)して、債権者に平等に配当を行います。
先ほども解説した通り、管財人は厳しい目で財産の調査と処分に当たります。
なお、所有する財産が一定額を下回る少額管財事件の場合は、この過程が省略・簡略化されるため、通常管財事件より早期手続きが可能となっているのです。
11.債権者集会
破産管財人による調査と処分が終わったら、裁判所と債権者に向けて「債権者集会」が開催され、管財人は全財産の換価と配当任務の結果を債権者へ報告します。
裁判官、破産管財人、破産者破産者の代理人弁護士(※司法書士は不可)、債権者が出席し、裁判所で行われます。
「債権者集会」という言葉には質疑応答や罵声が飛び交う怖いイメージがありますが、債権者集会はよほど問題がある場合を除けば5分〜10分程度で終了するのでご安心ください。
債権者集会に出席する際の服装・持ち物にも特に指定はありませんが、ここでもカジュアルすぎず清潔感のある服装を心がけましょう。
12.債権の確定
債権者集会の手続きが終わり破産手続きが廃止されると、引き続き免責についての判断が行われます。
裁判所は管財人の意見にもとづいて免責させるかどうかを判断しますが、管財人が「免責相当」の意見を出していれば、そのまま免責してもらえるケースが大半です。
免責を受けられれば全ての借金が帳消しとなり、自己破産手続きは完了となります。
13の免責審尋のと14の免責許可決定については、同時廃止事件と同じ内容です。
ただし、同時廃止事件・管財事件ともに、ここまでの手続きの中で財産の隠蔽や虚偽の証言、書類の不備などがある場合は免責が許可されない可能性があります。
とはいえ免責が許可されないことは滅多になく、きちんと誠実に手続きすれば約95%が免責を許可されているのでご安心ください。
任せましょう
自己破産の必要書類
ここでは自己破産の申し立てに使用する必要書類を、作成が必要なものと集めるものに分けてご紹介します。
自己破産の必要書類(作成するもの)
- 自己破産申立書
- 陳述書
- 財産目録
- 家計簿(2か月分)
自己破産申立書は弁護士に作成をお任せできます
作成する必要のある書類に関してはある程度弁護士に依頼することが可能ですが、内容についての資料や情報の提供は依頼者にしかできません。
あまり丸投げしすぎず、弁護士・司法書士と二人三脚で必要書類の作成に取り掛かりましょう。
自己破産の必要書類(集めるもの)
- 債権者一覧
- 住民票、戸籍謄本
- 保険証書、保険解約返戻金証明書
- 不動産登記簿謄本または賃貸借契約書のコピー
- 自動車の車検証・査定書
- 預金通帳(2年分の取引履歴)
- 給与明細書等、収入がわかるもの(3ヶ月分)
- 源泉徴収票、課税(非課税)証明書
- 退職金見込み額証明書
- 保険証書、保険解約返戻金証明書
- その他裁判所または弁護士・司法書士から要求された書類
債権者一覧に関しては、弁護士が債権調査の上、集めてくれます
必要書類は本人でないと取得できない、または必要書類の発行に本人の委任状が必要になるものが多く、必要書類を集めるための時間がそれなりに必要となるため注意が必要です。
自己破産の必要書類の収集と作成は早ければ早いほど良いので、弁護士・司法書士の指示をよく聞いて迅速に対応するよう心がけましょう。
自己破産の注意点
借金が帳消しになるということで、借金問題に苦しむ方にとってはメリットの大きい自己破産手続きですが、もちろんデメリットや注意点も存在します。
ここからは自己破産の注意点について解説していくので、破産手続きを検討中の方はぜひご確認ください。
自己破産の手続き中の注意点
自己破産手続き中の注意点は以下の4点です。
- 破産手続きをしても免責許可が下りない場合もある
- 自己破産手続き中に制限がかかるものがある
- 自己破産の準備中に費用を滞納すると訴えられる
- 自己破産二回目の場合は管財事件になりやすい
自己破産手続き中の生活や、自己破産申請中の支払い等に特に注意が必要なようですね。
以下でそれぞれの注意点について徹底解説していきましょう。
破産手続きをしても免責許可が下りない場合もある
破産手続きをしても、借金の理由や自身の状況によっては免責許可が下りない場合もあります。
この自己破産の免責許可が下りない「免責不許可事由」については上でも詳しく解説していますが、免責不許可事由に該当していても裁判所の裁量によって免責が受けられるケースもあるので弁護士・司法書士にご相談ください。
自己破産手続き中に制限がかかるものがある
自己破産手続き中は取り立てがなくなることはメリットとしてご紹介しましたが、自己破産申請中の生活では制限がかかるもの、つまり自己破産中の生活の中でしてはいけないことが存在します。
自己破産手続き中に制限がかかるもの
- 許可なく引越しができない
- 海外旅行や宿泊を伴う旅行はできない
- 郵便物は管財人経由でないと受け取れない
- 高額な買い物や財産の処分はできない
- 職業・資格に制限がかかる
自己破産申請中の生活では、自身の居場所を明らかにしておく必要があるので、居住地を長く離れることができません。
しかし出張などの止むを得ない理由で2泊以上する必要がある場合は、管財人や裁判所の許可を得る必要があります。
引越しに対しても制限がかかりますが、こちらも急な転勤などやむを得ない理由があれば、管財人や裁判所に許可を得て行うことが可能です。
何かと制限が多い自己破産申請中の生活ですが、正当な理由があれば対応してもらえるので安心してください。
ちなみに、自己破産申請中の生活に制限がかかり始めるのは「破産手続開始決定」が出た以降となるので、自己破産手続きの準備中は上記の制限はかかりません。
自己破産の準備中に費用を滞納すると訴えられる
自己破産手続きをする上で、弁護士に支払う費用を分割払いにする場合は注意が必要です。
自己破産の準備中に分割した費用の支払いを延滞・滞納してしまうと、弁護士に辞任される可能性が出てきます。
さらに、延滞・滞納の状況が悪質であったり、依頼した弁護士事務所の方針によっては滞納が原因で訴えられる可能性まで発生してしまうのです。
弁護士に辞任されてしまうと、自己破産できない上に止まっていた借金の督促も復活してしまうので、まさに良い事なしです。
費用の分割払いを検討される方は、本当に費用を支払い続けることが可能かどうか、弁護士と相談の上しっかり検討するようにしましょう。
自己破産二回目の場合は管財事件になりやすい
二回目以降の自己破産には制限がかかるだけでなく、たとえ財産が少なくても管財事件になりやすいので注意が必要です。
二回目以降の自己破産では財産の有無に関わらず借金の理由の調査が入る管財事件になり、管財人の目がさらに厳しいものになることが予想されます。
二回目以降の自己破産手続きは管財人・裁判所の信用がゼロ以下からのスタートになるので、簡単に免責が出ない可能性も高いです
破産手続きのその後の注意点
自己破産で免責が認められると全て終わって解放的な気分になりそうですが、破産手続きが済んだその後も注意が必要な点があります。
破産手続きしたその後の注意点
- 自己破産後は一定期間ブラックリストに登録される
- 自己破産後の生活に不要な財産は処分される
- 保証人にも影響が及ぶ
自己破産手続きしてからその後も、一定期間ブラックリストに登録されてローンが組みにくくなったり、自身の借金の取り立て対象が連帯保証人になってしまい迷惑がかかる、といったデメリットが続きます。
軽い気持ちで自己破産手続きを行って後悔することのないように、自己破産のデメリットもよく理解しておきましょう。
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自己破産の手続き費用は?
自己破産の費用の相場は、20万円~50万円と言われています。
とはいえ、手続き方法や依頼先によって自己破産の費用は変動するので、弁護士・司法書士事務所の比較検討は必須と言えるでしょう。
より詳しい費用内訳や自己破産費用の比較を知りたい方は、「自己破産 費用」の記事もご参照ください。
自己破産は弁護士に依頼するのがおすすめ
自己破産手続きは自分でも可能だったり、依頼先も弁護士・司法書士が選べたりと選択肢が複数ありますが、自己破産は弁護士に依頼するのがおすすめです。
自己破産を弁護士に依頼するメリット
- 手続きにかかる時間や労力が最小限になる
- 少額管財事件も選択できるようになる
- 自己破産以外の方法も相談できる
- 自分で手続きするより免責許可が下りやすい
以下でメリットの詳細を解説していきます。
司法書士に自己破産手続きの依頼をすることも可能ですが、裁判所に同行できないなどの制限があります。
必要書類の作成に関しては弁護士と同等に対応が可能です。
手続きにかかる時間や労力が最小限になる
弁護士に依頼すると、自己破産手続きの必要書類の作成や債権者とのやりとり等、素人では難しい作業を全て任せることが可能です。
そのため、手続きにかかる時間や労力が最小限で済む事になります。
破産手続きを自分でするとなると、書類の書き方ひとつとっても分からないことだらけで、必要なことをどこまで調べられるかもわからず不安ですよね
自己破産手続き、特に管財事件になってしまった場合の破産手続きはスムーズに進んだ場合でも時間がかかるため、少しでも手続きにかける時間や労力が減らせるのは弁護士に依頼する大きなメリットとなります。
弁護士に任せるとなると自己破産の費用がかさむのが嫌で……とおっしゃる方も多いですが、時間をお金で買うと思えば決して高くはないという考え方ができますよ。
少額管財事件も選択できるようになる
弁護士に自己破産手続きを依頼する最大のメリットと言っても過言ではないのが、少額管財事件も選択できるようになるという点です。
少額管財事件の際の破産手続きは弁護士にしか行うことができません
破産手続きを自分で進めていた際に、財産が中途半端にあって管財事件にすると費用が割高、という状況になってしまった場合はどうにもできません。
しかし弁護士に依頼していた場合には、少額管財事件に切り替えることで費用と時間の節約が可能になります。
自己破産以外の方法も相談できる
自己破産を検討していても、免責不許可事由によって自己破産できない可能性は大いに考えられます。
しかし自己破産で免責(借金の帳消し)だけが借金問題の解決策ではありません。
弁護士に相談すれば、任意整理や個人再生などの自己破産以外の方法も相談できます。
自己破産手続きを自分で進めていた場合にはまた一から債務整理の勉強をやり直す手間がかかり、どこまで調べられるかもわかりませんが。弁護士はプロなので方向転換もスムーズです。
自分で手続きするより免責許可が下りやすい
弁護士に自己破産手続きを依頼すると、自分で手続きするより免責許可が下りやすいという大きなメリットもあります。
自己破産手続きは煩雑な必要書類を作成・提出し、管財人の厳しいジャッジを経て免責を勝ち取る事になります。
そのため、債務整理のプロである弁護士に説明を任せたり、自己破産手続きの方向性を指示してもらうことでえ、より免責許可が下りやすいように手続きを進めることが可能となるのです。
自己破産後の生活の安定のためにも、弁護士に依頼して、より確実に免責を勝ち取りに行きましょう
自己破産におすすめの弁護士・司法書士5選
ここからは、自己破産におすすめの弁護士・司法書士をご紹介します。
自己破産に強いおすすめの弁護士・司法書士
いずれも債務整理におすすめな事務所ばかりなので、特徴や無料相談の対応時間など、依頼者自身の性格や抱えている借金問題に合わせてご検討ください。
無料相談では、自己破産するとどうなるか、自己破産手続きでどこまで調べられるのか、などの不安な点も確認できますよ。
はたの法務事務所
引用元:はたの法務事務所
はたの法務事務所の特徴
はたの法務事務所は経験豊富な司法書士が多数在籍する司法書士事務所です。
司法書士歴40年という実績が多くの人の信頼を集めている法務事務所で、その信頼は累計相談件数20万件以上という数字になって現れています。
はたの法務事務所は利用者の95.2%が「満足」と答えるほどの高い顧客満足度を誇っています。
弁護士と違い法律活動に制限はありますが、自己破産手続きを自分で行う際に書類作成だけを依頼する、といった依頼方法が可能です。
なるべく自己破産費用は抑えたいけれど、自力で必要書類を揃えられるか不安、という方はぜひご相談ください。
はたの法務事務所の特徴や口コミは「はたの法務事務所 口コミ」の記事でご覧いただけます。
はたの法務事務所の自己破産費用
相談料 | 無料 |
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報酬金 /1件 | 330,000円~ |
その他費用 | 220,000円~ ※管財事件の場合 |
※書類作成のみ
企業形態 | 司法書士法人 |
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主な業務 | 任意整理・過払い金請求・個人再生(書類作成)・自己破産(書類作成) |
所在地 | 東京本店:東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階(受付)・6階 大阪支店:大阪府大阪市淀川区西中島4-11-21 新大阪コパービル303 |
東京ロータス法律事務所
引用元:東京ロータス法律事務所
東京ロータス法律事務所の特徴
東京ロータス法律事務所は債務整理の実績とノウハウが豊富な弁護士法人です。
何度でも無料相談が可能なだけでなく、正式に依頼するまでは匿名でも相談対応してもらえるのが嬉しいポイントとなっています。
東京ロータス法律事務所は自己破産手続きを安心してお任せできるのはもちろん、特におすすめしたいポイントとして相談者の状況に合わせた債務整理の方法を提案してもらえるという特徴があります。
借金問題を抱えているけれど、自己破産できない可能性が高そう……とお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
東京ロータス法律事務所であれば、持つ豊富な実績とノウハウを活かした解決方法も提案してもらえるはずです。
特徴や評判についてもっと詳しく知りたい方は、「東京ロータス法律事務所 口コミ」の記事をチェックしましょう。
東京ロータス法律事務所の自己破産費用
相談料 | 無料 |
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着手金/1件 | 220,000円 |
報酬金 /1件 | 220,000円 ※管財事件の場合+200,000円 |
その他費用 /1件 | 諸経費55,000円 |
※税込
企業形態 | 弁護士法人 |
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主な業務 | 任意整理・過払い金請求・個人再生(書類作成)・自己破産(書類作成)・身近な法律問題全般等 |
所在地 | 東京都台東区東上野1丁目13番2号廣丸ビル1-2階 |
サンク総合法律事務所
引用元:サンク総合法律事務所
サンク総合法律事務所の特徴
サンク総合法律事務所は、問い合わせ件数月600件以上という相談実績の高さが特徴です。
無料相談は24時間・全国対応でありながら、接客態度が良いという口コミが多く寄せられています。
利用者目線に立った便利なサービスと心地よい対応が高い問い合わせ件数実績につながっている弁護士法人です。
サンク総合法律事務所のおすすめポイントは、アットホームな雰囲気です。
自己破産手続きには必要書類の多さや管財人の厳しい調査などストレスが溜まる過程が多くあるので、依頼する弁護士の態度が柔和だと、自己破産するとどうなるか不安な中では心が救われることも多いでしょう。
スタッフは自己破産をはじめとする債務整理のスペシャリスト揃いなので、破産手続き自体も安心してお任せできますよ。
「破産手続きをしたいけれど感染症が心配」という方のためにテレビ電話面談も行なっているので、気になる方はぜひご相談下さい。
「サンク総合法律事務所 口コミ」の記事で、さらに詳しい特徴と口コミをまとめています。
サンク総合法律事務所の自己破産費用
相談料 | 無料 |
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着手金 /1件 | 500,000円 ※住宅ローン有の場合+100,000円 |
報酬金 /1件 | 一律10% |
その他 | 管財人費用の自己負担 ※各都道府県により費用が異なる |
※税込
実際に問い合わせをして確認した内容になります。
企業形態 | 弁護士法人 |
---|---|
主な業務 | 債務整理・民事事件一般・離婚・相続・遺言・事業再編・貸金問題・企業の倒産処理など |
所在地 | 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
ひばり法律事務所
引用元:ひばり法律事務所
ひばり法律事務所の特徴
ひばり法律事務所は弁護士活動実績25年・お客様満足度98%の実績を誇る弁護士法人です。
全国対応の無料相談や料金の分割払いなど、相談者に優しい対応が特徴の事務所となっています。
ひばり法律事務所には女性専用相談窓口があり、希望すれば可能な限り女性スタッフのみに対応してもらえるという点がおすすめポイントです。
コロナ禍での破産手続きは必要以上に心配事が多く付きまとうので、せめて女性同士で気楽に相談したい……と望む方におすすめです。
ひばり法律事務所が気になった方は、「ひばり法律事務所 口コミ」の記事をご覧ください。
ひばり法律事務所の自己破産費用
相談料 | 無料 |
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着手金 /1件 | 220,000円 |
報酬金 /1件 | 220,000円 |
経費 | 5,500円/1社あたり |
その他 | 若干の諸経費有 |
※税込 ※予納金・郵券・交通費など実費あり
企業形態 | 弁護士法人 |
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主な業務 | 借金問題・離婚・相続など |
所在地 | 東京都墨田区江東橋4丁目22-4 第一東永ビル 6階 |
まとめ
今回は自己破産手続きについて解説してきました。
自己破産とはなに?期間はどれくらいかかるの?条件とは?どこまで調べられるの?などなど、情報が多くて混乱してしまった方も多いのではないでしょうか。
そこで最後に、今回の記事をポイントごとに振り返っていきたいと思います。
自己破産とは、破産手続きを行うことで借金を帳消しにする債務整理の一つです。
自己破産するためには家や車、貴金属など所有する財産のほとんどを手放す必要がありますが、自己破産後の生活を保障するだけの財産は残すことが認められています。
財産がどこまで調べられるのか不安な方は、とりあえず「全部調べられる」覚悟をしておきましょう。
自己破産のメリットとしては、自己破産手続き中の取り立てがストップすることと、借金がなくなることで自己破産後の生活の安定が望めることです。
破産手続きのデメリットは、自己破産申請中の生活には引越しや旅行などに制限がかかったり、自己破産申請中に費用の支払いが滞れば自己破産準備中でも訴えられる可能性があること。
そして、自己破産後の生活の中でクレジットカードやローンが使えないなどの不利益が発生することです。
破産手続きのメリットとデメリット、自己破産の条件や費用や期間、自己破産後の生活などなど、検討すべきポイントがたくさんありますね。
自己破産申請中に費用の支払いが可能かどうかも要検討です。
自己破産手続きには「同時廃止事件」と「管財事件(少額管財事件)」があり、自身の財産や状況によって裁判所から手続き方法が言い渡されます。
自己破産手続きが認められるには条件があります。
自己破産を検討する際には、自身状況と条件を照らし合わせて確認、または法律事務所に相談してみましょう
自己破産手続きの費用は20万円から50万円が相場となっています。
そして自己破産手続きの際、同時廃止事件と管財事件、少額管財事件では手続きにかかる期間が異なるので注意が必要です。
免責許可が出るまでの期限 | |
---|---|
同時廃止事件 | 2ヶ月~3ヶ月前後 |
管財事件 | 6ヶ月~1年前後 |
少額管財事件 | 3ヶ月~6ヶ月前後 |
同時廃止事件の手続きに必要な期間と管財事件の手続きに必要な期間の差は必要な手続きの違いによるもので、管財事件には管財人による調査等が入るため、免責が出るまでの期間が長くなります。
自己破産手続きの流れは、同時廃止事件と管財事件、ほぼ同じです。
繰り返しになりますが、必要な期間の差は管財人の介入とその結果報告の部分の有無だけとなります。
自己破産することで管財人にどこまで調べられるのか不安な方は、あらかじめ弁護士等に相談して心の準備をしておくことがおすすめです。
自己破産手続きの申し立てには必要書類が多く、裁判所や管財人との交渉も必要なことから、最初から弁護士に依頼するのがオススメです。
司法書士に依頼する場合は法律活動に制限がありますが、弁護士であれば事務手続きや交渉だけでなく、少額管財事件への切り替えやその他債務整理への対応も可能、と幅広くフォローができます。
少額管財事件であれば、自己破産手続きにかかる期間も節約できるのも嬉しいポイントです。
また、弁護士に依頼することで自己破産手続きで免責が受けやすくなるのも大きなメリットとなります。
ただし、自己破産申請中の費用の支払いには注意が必要で、自己破産準備中に支払いが滞ると最悪訴えられる可能性もあるので注意しましょう。
自己破産には自身の財産のほとんどを手放さなければならないためネガティブなイメージがありますが、本当に借金で苦しむ方には再スタートを切る大きなチャンスです。
まずは自己破産とはどういうもの?と興味を持つことで、新たな道が拓ける可能性があります。
自己破産に必要な期間や条件、借金が帳消しになるメリットだけでなく自己破産の準備中訴えられるリスクやどこまで調べられるかなど、自己破産手続きについて正確に把握しておけば、きっとあなたの生活のプラスになるはずです。
借金問題でお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
自己破産とは人生の再スタートへの最初の一歩です!
流れとやり方、自身の借金の詳細をしっかり理解して、自己破産手続きに臨みましょう!