住宅を取得する一般的な方法として、住宅ローンで自宅を購入することが多いです。
その住宅ローンですが、債務整理中でも利用できるのでしょうか、また債務整理後に債務を完済すれば利用できるのでしょうか。
経験豊富な弁護士をはじめとした債務整理専門チームが丁寧に対応!
債務整理中は住宅ローンを組むことが難しい
債務整理中は住宅ローンを組むことは基本的に難しいことを知っておきましょう。
ブラックリストに載るため基本的には組めない
債務整理をするとブラックリストに載るため、基本的には住宅ローンを組むことはできません。
その理由は次の通りです。
債務整理をするとブラックリストに載る
債務整理をするとブラックリストに載ります。
借金やクレジットカードの利用状況などのいわゆる信用情報は、信用情報機関で管理されています。
債務整理をすると、依頼を受けた弁護士・司法書士が、貸金業者に対して依頼を受けたことを示す受任通知を送り、債務者がこれに応じて信用情報機関に債務整理を始めた旨を通知します。
この債務整理を始めた旨の通知を受けた信用情報機関では、その人の信用情報に債務整理をした旨の情報(異動情報)を登録します。
この異動情報があると、信用情報を使って審査を行うものについて、審査が非常に通りにくくなります。
このような状態をブラックリスト、あるいはブラックリストに載る、と呼んでいます。
ブラックリストに載っていると住宅ローンの審査には基本通らない
住宅ローンを組むにあたっては、きちんと返済できるかの審査が行われます。
住宅ローンの審査というと、頭金・収入・雇用形態・勤続年数などの様々な事項から行われるのですが、その審査事項の一つとして、ブラックリストかどうかが含まれます。
住宅ローンは数千万円単位の金銭の貸付を行い、それを20年を超える期間をかけて返済するものであり、その審査はローンの中でも非常に厳格です。
そのため、ブラックリストに載っている状態で、住宅ローンの審査が通ることは期待できません。
連帯保証人がいれば組める可能性がある
本人がブラックリストである場合でも、連帯保証人がいる場合には住宅ローンを組める可能性があります。
住宅ローンを借りる場合に、債務の支払いについて連帯保証人を付けられる場合があります。
このときには債権者は債務者のほかに連帯保証人の支払い能力とを併せて支払い可能性を検討することになります。
そのため、連帯保証人がブラックリストでなければ、主債務者がブラックリストであっても住宅ローンを借りられる可能性があります。
この場合審査は極めて厳格なので、頭金などの住宅ローンの審査の他の要素を良くしておくことは必須であるといえます。
ペアローンであれば組める可能性がある
他にも、ペアローンであれば組める可能性があります。
ペアローンとは、債務者が夫婦や親子など複数になる住宅ローンのことをいいます。
ペアローンを組む場合、審査はペアとなる夫婦・親子の両方に対して行われます。
そのため、もし一方がブラックリストの状態にある場合でも、他方がブラックリストでなければ、借りられる可能性があります。
もっとも、一方がブラックリストである事実はマイナス要素となるため、他の審査事項が厳しく見られる可能性は高いでしょう。
例えば、夫婦で夫が会社員・妻がパートである場合で、債務整理によってブラックリストとなっているのが妻よりも夫である場合のほうが審査は通りづらいといえます。
不動産担保ローンが利用できる
なお、ブラックリストであっても、不動産担保ローンであれば利用可能です。
不動産担保ローンとは、不動産を担保にしてお金を借りるものです。
同じようにローンを組むものですが、返済ができなくなったときに備えて、不動産に抵当権という担保を付けて、お金の借入を行います。
信用情報などに基づく信用情報の調査は、返済能力を調べるために行われますが、不動産担保ローンについては
返済できないのであれば不動産に対して抵当権を実行して競売をして、そこから資金を回収することができます。
たとえば、1,000万円の借入をおこなって、その返済ができない場合に備えて不動産に抵当権をつけておき、1,200万円で不動産が競売されれば、債権の回収が可能です。
そのため、不動産の価値をきちんと把握して、競売をすることで回収できれば、本人がきちんと返済するかどうかは関係ないので、ブラックリストでも借入が可能です。
債務整理後はいつから住宅ローンを組めるのか?
債務整理をした場合、ブラックリストとなるので、住宅ローンを組むことができなくなりますが、再度住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。
また住宅ローンを組むことができるとして、いつから住宅ローンを組むことができるのでしょうか。
ブラックリストには期限がある
上述したように、ブラックリストの状態だと、住宅ローンの審査に通りません。
信用情報に異動情報が登録されている状態をブラックリストというのは上述した通りですが、異動情報は一定期間を経過すると削除されます。
つまり、ブラックリストも一生続くわけではなく、一定期間が経過すれば再度住宅ローンを組むことも可能です。
では、どのくらいの期間が経過すると、異動情報は削除されるのでしょうか。
異動情報が削除される期間は債務整理の手続き別に異なるので確認しましょう。
任意整理・個人再生は完済後から5年経過が目安
債務整理のうち任意整理・個人再生については、債務を完済後から5年が経過すると異動情報が削除されることになっています。
そのため、完済後から5年が経過すると、ブラックリストでは無くなり、住宅ローンを再度組むことが可能となります。
自己破産は手続き後から7年経過が目安
自己破産の場合には手続き後から7年が経過すると異動情報が削除されることになっています。
そのため、5年が経過すると、ブラックリストでは無くなり、住宅ローンを再度組むことが可能となります。
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債務整理後の住宅ローン審査の通過率を高めるポイント5つ
債務整理後に住宅ローン審査を申し込む際に、審査の通過率を高めるためには次のポイントがあります。
信用情報を確認してから申し込む
申込時の信用情報をしっかり確認してから申し込みましょう。
長期間経過したのでそろそろブラックリストは終わっているかと思って住宅ローンを申し込んだものの、実はブラックリストは終わっていなかったという場合もあります。
ブラックリストが終わっているかはきちんと確認してから申し込むようにしましょう。
ブラックリストが終わっているかどうかは、信用情報の開示を受けることがで確認が可能です。
信用情報を管理している信用情報機関には、CIC・JICC・KSCという3つの種類があります。
金融機関によって登録している信用情報機関が異なるため、ご自身が借入をしている金融機関がどの信用情報機関に加盟している確認した上で開示請求を行ってください。
信用情報の開示は、それぞれインターネットや郵送ですることができます。
債務整理を行なっていない銀行で申し込む
任意整理の場合は、任意整理を行っていない銀行で申し込みをしましょう。
債務整理の対象となった会社については、ブラックリストが終わった後も、手続きを行うことができません。
この状態を社内ブラックと呼んでいます。
たとえば、自己破産をする際に、A銀行のカードローンを利用していた場合、ブラックリストが終わった後もA銀行から借入ができません。
このような状態を社内ブラックと呼んでいます。
債務整理をした銀行の住宅ローンや、債務整理をした銀行で住宅金融支援機構の利用をすると、ブラックリストが終わった後でも、社内ブラックが原因で住宅ローンの借入ができません。
頭金を準備してから申し込む
しっかり頭金を準備してから申し込みをしましょう。
債務整理の有無に関わらず、住宅ローンの審査にあたって頭金の準備は重要です。
頭金は、単にお金の用意をしているかどうかを判断するだけではなく、計画的にお金を貯めることができているかを判断するための要素でもあります。
住宅ローンは何千万ものお金を貸し付けて、何十年もの長期で返済するものであり、返済能力を見極める審査は非常に慎重に行われます。
そのため、頭金の存在は住宅ローンの審査に重要な影響を及ぼします。
頭金としてたくさんのお金をコツコツ積み立てているならば、家計の管理能力が高く完済に期待ができるといえるでしょう。
一方で全く頭金を貯めていないにもかかわらず、住宅が欲しいという理由から住宅ローンを申し込んでいる場合には、衝動的に買い物を繰り返す可能性があり、審査も慎重になります。
きちんとコツコツ頭金を貯めてから申し込みを行うようにしましょう。
勤続年数が1年以上になってから申し込む
現在の職場の勤続年数が1年以上になってから申し込みを行いましょう。
現在収入がいくらあるかだけではなく、返済をきちんと継続できるかは、審査にあたって重要な要素です。
そして、住宅ローンは長期間返済を要するもので、仕事が安定してないと返済が滞ってしまうという懸念が生じます。
そのため、きちんと仕事を続けている人と、仕事を転々としている人では、きちんと仕事を続けている人のほうが継続して返済できる見込みが高いといえます。
きちんと仕事を続けているという判断ができる目安として、勤続年数が1年以上であることが挙げられます。
これは、国土交通省住宅局が令和5年3月に発表した令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書の内容が参考になります。
令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書では、金融機関に調査を行って得た回答全1,016件のうち、勤続年数は943件と全体の約93%で融資の審査に利用されています。
そして、勤続年数を審査に加えた943件のうち約62%にあたる589件において、1年以上勤務しているかどうかを判断基準にしています。
2年以上と3年以上と回答した金融機関も含めると80%を超え、長期間一つのところで働いていることは重要な要素といえるでしょう。
そのため、申し込み時に1年は働いていることを目安として、なるべく長期間一つの職場で働くようにしましょう。
参考:令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書|国土交通省(URL:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001597952.pdf)
ローン審査が比較的通りやすい商品を選ぶ
ローン審査が比較的通りやすい住宅ローンを選ぶようにしましょう。
住宅ローンには様々なタイプの商品が用意されており、それぞれに特徴があります。
当然ですが審査の厳しさも商品によって異なるため、ローン審査が比較的通りやすい商品を選ぶことで、住宅ローンが組める可能性が上がります。
例えば、フラット35は比較的審査が通り易いといわれているため、利用を検討してみましょう。
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債務整理後の住宅ローンの注意点
債務整理後の住宅ローンの注意点については次のような注意が必要です。
信頼を積み重ねる
債務整理後に住宅ローンを申し込む際には、クレジットヒストリーと呼ばれる、返済実績を作ってから申し込むのが望ましいです。
例えば、クレジットカードを作成して、その利用を行い返済をすると、これらの記録が信用情報に残ります。
これらの利用履歴は、利用の上できちんと返済していることを示す資料として審査に用いられます。
ブラックリストが解除された直後は、これら一切の信用情報が無い状態であり(俗に「ホワイト」と呼びます)、利用と返済の計画性を推測することができない状態です。
また、過去に債務整理をしたことを推測できる状態であるため、審査に慎重になりがちです。
そのため、最初から住宅ローンの借入をするのではなく、クレヒスを作った上で住宅ローンの申し込みを行うようにしましょう。
なお、クレヒスを作るために最初の申し込みとして、クレジットカードを作るのが最も確実でしょう。
この場合、利用限度額を最小にして、キャッシング枠を0円にするなど、審査が緩くなるような方法で申し込みをすることで審査が通りやすくなります。
審査に落ちたら期間を空ける
もし住宅ローンの審査に落ちた場合、すぐに他の住宅ローンの申し込みをするのではなく、期間を開けてから申し込みをするようにしましょう。
住宅ローンをはじめとした借入などの審査を受けたことも、信用情報の内容として記録されることになっています。
そのため、審査を受けて落ちた直後に別の審査を受けた場合、直前の審査に落ちているという信用情報が残っていることになります。
一度審査に落ちているにも関わらず複数の審査を繰り返すことは、「お金に困っているのではないか?」という推測をされることになり、住宅ローンはもちろん消費者金融・クレジットカードを作るなどあらゆる審査に不利益となります。
一度審査に落ちたときはその後は期間を開けるようにしましょう。
審査に落ちたという記録は6ヵ月残ることになっているので、期間として最低でも6ヵ月を空けるようにしましょう。
債務整理した借金の完済まで滞納・遅延をしない
債務整理した借金を完済まで滞納・延滞しないようにしましょう。
債務整理のうち任意整理・個人再生をした場合、ブラックリストの5年の期間は完済してから計算することになります。
完済まで滞納・遅延をすると、完済までの期間が伸びることになり、より期間が長引くことになります。
債務整理した借金を完済まで滞納・延滞せず、きちんと完済するようにしましょう
まとめ
本記事では、債務整理中・完済後に住宅ローンは組めるのか、を中心にお伝えしました。
債務整理中や完済後のブラックリストの期間は、基本的には住宅ローンを組むのは難しいです。
ブラックリストの期間が明ければ、ブラックリストが原因で住宅ローンは拒否されませんが、クレヒスを作る、頭金を貯めるなどの借入がしやすくなる状況を作っておくことは必須であるといえます。
住宅ローンが組めなくなることが原因で債務整理を躊躇しているのであれば、早く債務整理をしてブラックリストの期間にしっかり頭金を貯めるのが良いでしょう。
経験豊富な弁護士をはじめとした債務整理専門チームが丁寧に対応!
そこで本記事では、債務整理中・完済後に住宅ローンは組めるのか、審査の通過率を高めるためのポイントも併せてお伝えします。